戻ってこない

秋雨前線が通過中という。

6月よりも長靴の出番が多い気がするこの頃。


このまま秋が来てしまうのかな。

予定していたプールの約束も流れてしまった。

きっと殆どの人が、夏にやり残したことがあることだろう。

良いことにせよ、悪いことにせよ。


明日から職場の同期の子が夏休みに入る。

それを今日リマインドされ、先々月にフライングした身としてはかなりの打撃となった。


軽く絶望する帰り道、ふと先日の部署の飲み会でのある一コマを思い出した。


上司やら役員やらが居る席で、私たち女性社員の男性のタイプが話題にのぼった。法務の誰々課長が素敵だとか、営業だったら誰が良いだとか好き勝手言い合って、おじさん達があーでもないこーでもないと茶々入れる、よくある光景。

そんな中、私が企画の◯◯部長が素敵だと言うと全員から大ブーイングが起きた。

確かに結構な歳なのに未婚、頭はキレるけど偏屈だなんて評判のある人だ。好みのタイプに挙げるにはマイナー過ぎたかもしれないけど、飲みの席での話や、豪快にお酒を飲み笑う姿が私は好きだった。

すると、その同期の子が笑いながら言った。


イエスマンじゃないとダメでしょ、◯◯部長とは合わないよー」


釣られて笑いながら、一瞬何を言われたか分からなかった。


その時抱いた感情は、まあ単純に言ってしまえば憤りなのだけど、それ以上に何かガツンと来るものがあった。

若くて(一個下だけど)可愛い彼女に、唐突に恋愛傾向を指摘されて、それがいけない事とはっきり言われた訳ではないけど、見抜かれているという焦りと何で同僚にそんなこと言われなきゃならないんだという苛立ち、だからダメなんだと言われたような悲しさ。


色んなものがない交ぜになって、それらを飲み込むように煽ったマルガリータは泥のような味がした。

グラスのふちについた塩が、涙の味かと錯覚させた。



だから今日、彼女が迎える夏が過ぎ去った夏休みに、「わあ、もうどこ行っても寒いだろうね、避暑のはずが!」なんて言ってしまったんだ。


神様叱って。

あとちょっとだけ、慰めて。